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アルチンボルド展 Ⅱ.ハプスブルク宮廷 その①

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

国立西洋美術館で開催中のアルチンボルド展。

1章ずつ私のぼんやりとした感想を綴っていこうという無謀な試み第二弾へ

ようこそ。

 

第一弾(第一章)は、こちら↓です。

usakameartsandcinemas.hatenablog.com

 

Ⅱ章の説明文を簡単に記しますと

 

アルチンボルドは1562年ハプスブルク家の宮殿にやって来て

1587年ミラノへ帰郷。

まずウィーン、ついでプラハにおいてフェルディナント1世、

マクシミリアン2世、ルドルフ2世という3代の神聖ローマ皇帝

仕える。

皇帝たちは多種多様な自然物と人工物のコレクションを収めた知の

アーカイブいわゆるクンストカンマ―(芸術と驚異の部屋)を築いて

いた。 また宮廷には付属の植物園や動物園があった。

 

宮廷における最も早いアルチンボルドの活動記録は肖像画制作に関する

もの。皇帝一家肖像画を数多く手掛ける一方、宮廷の祝祭をとり仕切る

稀代の演出家でもあった。

ウィーンにやってきた翌年の1563年に『四季』の連作を制作。

1566年に『四大元素』の連作を制作。

 

展示は、アルチンボルドを含む画家たちによる皇帝一家肖像画が並んでいました。

壁には当時の関連地図と、ハプスブルク家の系図が。

 

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展示されていた肖像画による系図ですが、1点注意というか、説明が必要かと。

 

2段目の皇女バルバラと、マルガレーテ。

彼女たちの絵のタイトルには『大公皇女(マルガレーテ?)』そして『大公皇女

バルバラ?)』という表示がありました。どうやら彼女たちを描いたものかどうかは

現時点では確定できていないようです。

 

皇女アンナはマクシミリアン2世に最も愛された娘と図録に書いてあったのを読み

「あれ!早く亡くなってしまった方かな」と思ったのですが、それはメディチ家の話で

ハプスブルク家の話ではなかったのでした。やれやれ。

 

 

他には巻貝形の鉢とか、貝形の鉢の展示もありまして。

石を、わざわざ貝の形にするというのも凄いし、鍍金した銀で作った豪華な飾りと

その貝の形にした石と組み合わせるという発想も凄いというか。

 

 職人さんたちにとっては大変だけれど、やりがいのある、そして皇帝に気に入られ

ないと仕事が来なくなってしまうという不安との戦いだったのかなぁ、という妄想まで

しておりました。

 

(でも、最初に遠目で見たときは貝というより頭蓋骨に見えてしまい、一人ビビって

いたのは私です)

 

展示室から階段を上りまして、次の展示室に『四季』&『四大元素』の連作が

展示されているスペースになります。

が、そちらは、後日書かせていただくことにして、先へ進みます。

 

 

最近気がついたのですが、私はどうやら素描好きなようです。

今回の展示で『四季』や『四大元素』にも興奮しましたが、アルチンボルドの素描にも

心躍りました。

 

私の心を躍らせた素描。

その名は「ルドルフ2世に献じられた馬上試合の装飾デザイン集」だそうで。

 

馬上試合って、槍もって戦ったりするんだろうか??と思いましたら

 

馬上試合は戦闘ではなく騎士道精神の復権を意味する美的な実演だった。

ハプスブルク家の宮廷でも、とりわけ重要なイベントとして開催されて

いた。 

 

という説明がありました。なるほど。

 

当時、ヨーロッパの王侯たちは自らの権力を誇示するための政治的

プロパガンダとして祝祭を催した。

アルチンボルドは祝祭の演出家でもあった。現代風にいうなら宮廷の

アート・ディレクター。

ルドルフ2世をはじめとする神聖ローマ皇帝はヨーロッパにまたがる2大

帝国を統治したのみならず自然の摂理を司る大宇宙(マクロコスモス)の 

力までを掌握せんとする大望を抱いていた。

 

考えることが大きすぎて、小市民の私には思いつかない発想……。

 

アルチンボルドは神話や学問、歴史や権力にかかわる多様な象徴を

盛り込んだ祝祭装置(衣装や小道具)をデザインすることで、そうした

皇帝の政治的野心を壮大に演出してみせた。 

 

アルチンボルドの作品が少ないのは、こういうアート・ディレクター的な仕事が

多かったから形として現在に残っていないのではないか、という説もあるそうで。

 

(デザイン集は)祝祭の演出家としてのアルチンボルドの想像力を今日に

伝える貴重な視覚資料。

自分の奇想を誇るのではなく古典的な図像・伝統にあえて忠実な表現を

みせている。

そのような歴史性を具えたリソースを組み合わせることで皇帝と帝国を

賛美する祝祭のイメージ戦略も可能になると恐らくアルチンボルド

考えていた。

 

いかに自分たちが統治するに相応しい存在であるか、をあの手この手でアピール

しようとしていたように思えてしまって……。

 

それにしても、”祝祭”という言葉に最初ピンとこなくて。

もちろん、「祝祭日休み」みたいな使い方としてはよく知っているのですが。

そうかぁ、お祭りするんだねぇ、としみじみ言葉の意味を再認識したという。

 

 

 

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天文学」の寓意

 あぁ、かっこいい衣装だなぁ。

 

 

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槍を持つ女

 

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魔術師

 

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コック

 ハンプティダンプティみたい!と思ってみたり。

ベルトに沢山フライパンさしてるのも面白い。

 

 

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馬にまたがる騎士

騎士の肩や膝あてが日本の仏像の飾りにもありそうだなぁ、なんて。

 

 

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龍の仮面をかぶった男

 

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ケルベロス

 

ここまで作品を見ていて、ふと思いました。

「これ、今度撮影が始まる映画の衣装デザインなんだよ」って言われても信じそう。

いや、私きっと信じるなぁ、と。

で、その映画面白そうだから観てみようかなぁ!って思うんじゃないかと。

ということは、もし実際にアルチンボルドさんと同時代を生きていたら、この祝祭を

きっと楽しんじゃったんだろうなぁ(妄想爆走)。

 

 

 

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          そり

 

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そり引き馬の馬具

 

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飾り馬具

これだけ薄紫の淡彩で仕上げられていました。

青の淡彩もいいけれど、こちらの色も好きだなぁ。

アルチンボルドさんと色の好みが合うわぁ(?????)

 

 

くどいけれど、この素描の絵はがきがあったら絶対まとめて購入していたのに。

残念。

ウフィツィ美術館にはあるかしら。(行く予定は皆無なのに、一応書いてみました)

 

あぁ、この装飾デザイン集欲しいなぁ(もちろん、本物ではなく)。

 

こちらのページで、展示品以外の素描も見られますのでよろしければ。

 

素描、最高でした。