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『美の祝典Ⅰ』 出光美術館

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

昨日、『美の祝典Ⅰ』の伴大納言絵巻について書きましたが。

もちろん、展示はそれだけではございませんで。印象に残った作品を、つらつらと。

≪四季花木図屏風≫ 室町時代

こちらで見られます

私としては水の描き方が大好きな屏風。

驚いたのは、一枚一枚のつなぎ目の部分にも絵を描いているという。

背景の色と同じだったり、背景に金箔が貼ってあったら金箔を貼ったりということが多いと思っていたので。

ちゃんと細かい部分まで描きこむこともあるんだなぁ、と感心して見ておりました。

そうだ、あともう一つ驚いたんでした。

この絵には竹が描かれているんですが、解説を読んでいたところ。やまと絵では竹が描かれることは少ない、と。

竹って、日本画にとっては当たり前に描かれるものと思っていた私は思わず「え、そうなんだ」と呟いてしまったほど。

≪日月四季花鳥図屏風≫ 室町時代

太陽が少し前へせり出しているように見えて、不思議だったのですが図録を見たら金属板だそうで。なるほど、だからかー。

絵の具で描いているなら、相当な厚塗りしないといけないだろうなぁ、と思っていたので。

それにしても、描かないで金属板を貼るって発想が面白い!!

 

≪雪月花図≫ 冷泉為恭

江戸時代に描かれたというのに、なんという綺麗な。

約160年は経過しているというのに。

実は、現代の画家が描いたんですと言われたら、すんなり納得してしまうほど綺麗な作品でした。

雪にかすむ景色の美しいこと。

そして、この絵から折り返すように順路が続くのですが。

この部屋と、隣の部屋(国宝・伴大納言絵巻が展示されている部屋)の間に薄い布で仕切りがしてありまして。

その布の模様が、伴大納言絵巻の応天門炎上シーン。

炎が上がり、黒煙がもくもくと立ち込めているシーンなんです。

そして、その下には消火器。

どうでもいいところで、一人にんまりとしてしまいました。

≪絵因果経≫ 奈良時代

下の動画で冒頭に映っているのが、絵因果経です。

長さは1506.1センチあるとか。

釈迦の生前における善行、現世における生涯などがかかれているそうです。

それにしても、絵が可愛らしくて。3頭身みたいにみえる部分とか。

まるで昔のゲームのような感じで、主人公が次々と難関を乗り越えていくロールプレイングゲームのように見えてしまいました。怒られそう。

≪山越阿弥陀図≫ 南北朝時代

はて、山越とは?と思いましたら。

解説に、山並みの向こうから阿弥陀が姿を現すタイプの来迎図を山越阿弥陀図というのだ、と。

なるほど。

阿弥陀様自ら山を越えるとかではなく、もう山よりも大きく描かれておりました。

≪十王地獄図≫ 鎌倉時代末期~南北朝時代

インパクト大。

一幅が160.5×137.8センチの双幅。

十王というのは、冥界で死者を裁く王たちのことらしいです。

1人1人の前には筆記用具が置いてあるのですが、多くて二行、たまに何も書いてなかったりして。

なんだか聞き取りもそこそこに、もう問答無用に裁かれてそうな感じすらします。

子ども時代に見たら、相当怖がっただろうなぁ。

≪理趣経種子曼荼羅≫ 勝覚 保安3年(1122)

双鳳凰丸瓜唐草文を雲母刷りしてある上に梵字が書かれているのですが、その模様が美しいのと。

よく墨がのったなぁ、と。模様のところで筆がひっかかってしまいそうに見えるのですが。

≪四季草花図屏風≫ 江戸時代

この屏風を見ていた見知らぬ女性が「イングリッシュガーデン的な!」と仰っているのが聞こえまして。

うん、なるほど。

バラこそないものの、仰る意味十分分かります、と勝手に同意。

図録に、”伊年”印のある≪四季草花図屏風≫は多数現存していて特に山種美術館の所蔵品が優品である、と書いてあって。

潔く他の美術館の所蔵品を褒めつつ、

個々の草花の描写は的確で、宗達次世代における草花図の醍醐味を十分に伝える作品になっている

と、うちの子の良さもアピールしているところ。好きです。

というか、この作品好きです。

とまぁ、つらつら感想を書いてまいりましたが。

出品リストにないものも展示されていたり、小さな銅鏡とか、瓦経とか。

見応えのある展覧会でした。

Ⅱ、Ⅲも愉しみです。