府中市美術館で2015/5/6(水)まで開催している『動物絵画の250年』は2007年に開催された「動物絵画の100年 1751-1850」の続編とのことで、前回は江戸時代後期の100年に焦点をあて、今回は江戸時代全般を取り上げたとのことです。
美術館で出品目録をもらった時、166点記されているのを見て驚いたのですが出品目録を、よーく見てみると前期と後期すべての作品が掲載されおりました。
いやぁ、早とちり、早とちり。
前期と後期では、すべての展示が変わるとのことなので出来れば1回ずつ見たいなと思い、前期が4/5(日)までなので慌てて行ってきました。
いやぁ、それにしても個人所有の作品も多数出品されており、よくぞここまで揃えて展示出来たなぁ、と
展示室(2階)の8割ほど見終わったところで 「14時からスライドを使って学芸員が展覧会の見どころを説明します」との館内アナウンス。
せっかくだから聞きたいけれど、スライドレクチャーの場所へ行くには2階の展示室を出て1階へと行かねばなりません。
まだ全て見てないのに、展示室を離れたら再びチケットを購入しなきゃいけないのかな。近くにいた係りの方に聞いたところ「当日であれば、チケットの半券で何度でもご覧いただけますよ!どうぞ、ゆっくりと聞いてきてください」と教えていただきました。
スライドレクチャーを担当されが学芸員の方は、なんとこちらの本の著者の方だと美術館内のショップで知ったのであります。
気になっていたんです、この本。でも、なにしろ読んでない本が多すぎるから我慢しようと思ってたんです。
だけど、だけど。
これは、ご縁ですよね。うん。
まさか、ご本人のレクチャーを聞けるとは!
とても軽妙な語り口でレクチャーも愉しかったので、もしお時間のある方は是非!1回ザっとみて、レクチャー受けて、また気になった絵を見返すと面白いです!!
そうそう、チケットと言えば。もれなく「2回目半額割引券」が付いてくるのであります。
太っ腹!!(団体割引および各種割引との併用はできません、との記載あり)
さて、展示について話を戻しますと。
縁起物とされる動物は、その動きやイメージから連想されるものもあれば、言葉を介して縁起物となるものもある、と。
連想から、というのは例えば鷹なら、その力強さや速さなどからイメージして縁起がいいと。
言葉を介して、というのは”鹿”は”ろく”とも読み、給料やお祝儀を意味する”禄”を連想させるところから縁起物となった、と。
彭白百川 『勝鶏図』
説明文には、鶏は朝を告げる不思議な習性から邪悪なものを払いのける力を持つと考えられてきた、と。そういえば、子供の頃には近所で飼われていた鶏が朝に鳴いていたっけなぁ。今は、それを知識としては知っていても実体験する子供は少ないかもしれませんね。
昔と今では、だいぶイメージが変わったもの、当時としては常識過ぎて書き残されていないような共通認識もあるんだろうなぁ。ぶつぶつ。
島田元旦 『玉兎図』
兎は月で不老長寿の仙薬をついている、とも言われていたそうで。月には木犀(もくせい)が生えている、と。そうかぁ、金木犀は月の香りってことでいいのかしら。
この絵には、右上に月のような丸い球体が描かれているのですが、説明文には月から、地球(丸い球体)を見ているのかもしれない、と。なるほどなぁ、面白い見方だなぁ、と思いました。説明文が、ちょいちょい面白くて楽しかったなぁ。
雲谷等益 『竜虎図屏風』
出品目録に、ぐるぐる丸をしているので気に入った作品だったようなのですが。はて。。。1週間前なのに記憶が・・・周南市美術博物館所蔵。
後期を見にいったら、やっぱり図録購入しよう。個人蔵の作品も含め見られる機会ないだろうし。
伊年印 『四睡図(しすいず)』
大きな虎の横で、男性が1人スヤスヤと眠っています。これは禅の境地を表したものだそうなのですが、なんとも虎の目が愛らしい。まるで男性を見守るような優しい眼差し。
虎は、明治になる3年ほど前に日本にきたということで、江戸時代の画家たちはまず本物を見ることなく、想像で描くしかなかった、と。でも、想像で描くにしても細部まで描く必要がある、と。なるほど、きっと色々苦心したんでありましょうねぇ。
円山応挙 『猛虎図』
丸みのある整った形や、むっくりとした前足が実際とは違う、と説明文に。なるほど、確かに凄みはあるのですが、な~んか可愛らしいフォルム。
そうそう、11年前の記事ですが面白いのがありましたので勝手にご紹介。
生きた虎を見たことがなかった応挙は。ほぼ日刊イトイ新聞、全9本の記事のうちの1本です。なるほど、毛並みは〇〇を見てたから知ってたのですねぇ。ふむふむ。
吉村孝敬 『虎図』
ネコバス!?という私の謎のメモが。
長沢芦雪 『猛虎図』
説明文によると、立体感も奥行きも凄みもある、とのこと。なのに、なのに、どこか可愛いのは何故?と思いましたら
師匠である円山応挙の描いた、後ろ足の片方を横に投げ出す子犬
このポーズを虎がとっているからだ、と書いてありました。
なるほどなるほど、表情は少々ワル顔だけど後ろ足を”てれん”と投げ出しているのが可愛さを生み出していたのですねぇ。
原存明 『水呑虎図』
岩の上に虎がいて、水を飲もうとチョロリと舌をだしているのですが。説明文に書いてある通り、虎のいる岩から水面までは少々距離がありまして。
イソップ童話のキツネじゃないですけど、なんだかやせ我慢しているようにも見えてしまったのでありました。
虎の絵を集めたコーナーに一番長くいた気がします。どの絵も、迫力もありつつ、どこか可愛らしい。
さてさて、長くなってきたのでここで一旦終了といたします。
続きは、また後日。