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平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち展

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

三井記念美術館で三十三年に一度しか公開されない秘仏を拝見し、

その前には東京国立博物館でも秘仏を。

それが《平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち展》。

 

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こちらが携帯サイト。どどーんとご本尊のお姿。

 

こちらはパソコンサイト。同じく、どどーん。

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 滋賀県甲賀(こうか)市に所在する天台宗・櫟野寺(らくやじ)。

ご本尊は、重要文化財に指定された十一面観音菩薩坐像。

像高は3.12mあり日本では最大なんだそうです。

頭と体は1本の木から彫り出され、台座・光背も含めると5mを超えるとか。

高さもあるけれど、横から見てもかなりの厚みが。

一体、どれだけ大きな木だったのか!!

 

 

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普段は大きな厨子に安置され、特別開帳時以外は見ることができない秘仏

今回、そのご本尊が初めて寺外で公開されているそうです。

 

東京国立博物館の本館特別5室に足を踏み入れますと、もうそこに。

展示室の真ん中に、ずーーっと昔からそこにいらっしゃるかのように

座っていらっしゃるご本尊。

 (展示室に厨子はなく、ご本尊と光背のみ展示されています)

 

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展示室でお会いするときは、こちら↓のイメージが近いと思います。

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まさに、チラシにあったとおり。

 

 《仰げば、尊し》

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 一体、どこの扉から、どーやって運び込んだのか。

いや、そもそも、トラック(空輸ではないですよね??)にどうやって

乗せたのか。

重量も高さもあるから、専用の木箱を作っての運搬になるのか。

うーむ、謎すぎる。

 

なんて思えたのは、会場をあとにしてからでして。

展示室では、ただただ上を仰ぎ、周囲をぐるぐるし、ひたすらご本尊を

見続けておりました。

こんなにも大きな仏像を作る人たちも、それを守り続けてきた人たちも

大変だっただろうなぁ、と。

 

そして、今回の運搬の様子が書かれたブログを発見!

www.tnm.jp

 

いやはや、やはり大変な作業だったんですねぇ。

 

 

会場の雰囲気が分かるのは、こちらの記事かと。

www.tnm.jp

 

 

展示の配置は、こんな感じで。

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  1. 十一面観音菩薩坐像(ご本尊)
  2. 毘沙門天立像
  3. 地蔵菩薩立像
  4. 吉祥天立像
  5. 観音菩薩立像
  6. 観音菩薩立像
  7. 観音菩薩立像
  8. 十一面観音菩薩立像
  9. 薬師如来坐像
  10. 観音菩薩立像
  11. 観音菩薩立像
  12. 観音菩薩立像
  13. 観音菩薩立像
  14. 観音菩薩立像
  15. 十一面観音菩薩立像
  16. 地蔵菩薩坐像
  17. 十一面観音菩薩立像
  18. 地蔵菩薩立像
  19. 吉祥天立像
  20. 吉祥天立像

20点すべてが重要文化財とのこと。

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 ご本尊についての詳しい内容は、こちらの記事に。

www.tnm.jp

 

 この記事の中にも書かれていますが、仏像には大きさなどに決まりが

あるそうで。

 

とりわけ重要なのが経典に定められた一丈六尺(いちじょうろくしゃく)で、

これにのっとった仏像を”丈六仏(じょうろくぶつ)”と呼ぶそうです。

丈六を今の単位にすると約4.8m。(一尺=約30.3cm)

坐像は、その半分の大きさで約2.4mという決まりだそうです。

 

ただ、最初にも書きましたが。

ご本尊の像高は3.12m。おや?決まりの約2.4mでは無いってこと??

 

いやいや、そこはご心配なく(一人漫才)。

 

仏像は種類によって髪型が大きく異なるので、測る時は髪の生え際

つまり髪際(かみぎわ)から足元までの高さを測る、という決まりなんだ

そうです。

ご本尊も髪際で測ると約2.4mでまぎれもなく丈六仏と説明にありました。

なるほど、なるほど。

 そうかぁ、好きな大きさで作っているわけではなかったのか。

 

ご本尊”十一面観音菩薩坐像”の説明に十一の意味が書かれておりました。

11はインドの方位概念で、すべての方向(八方位と上下)を意味する10に、

本面を合わせた数だそうで。

 

日本では頭頂の頂上仏面と頭上面を合わて11面とし、本面を合わせると

12面になるのが一般的だそうです。

 

 十一面観音は古代インドの言葉で「サマンタムカ」。

”あらゆる方向に顔を向けたもの”と呼ばれた観音菩薩が変化した姿の

ひとつであり、いかなる場合にも救済を施すという性格を強くあらわして

いる、と。

 

ご本尊の下ぶくれの顔と均整のとれた体形は、甲賀における仏像表現の

手本となった、とも。

 

 長くなりましたので、最後に”甲賀様式の仏像”についての説明を書いて

一旦〆たいと思います。

 

櫟野寺の仏像の中には、顔つきや体形などがよく似ているものがあって

例えば、7、8、10には下ぶくれの顔に、両目の吊り上がる厳しい表情、

細身で長身の体形という共通した表現が見られる、と。

 

 5、6、19は表情が穏やかで体型もずんぐりしているが、着衣の表現に

共通点がある、と。

11、12、13は長身の体形や着衣の意匠が似通っていて、

14、15はそっくり。

 

周辺の寺院にもよく似た作例が伝わっていて、それらの表現を”甲賀様式”と

よんでいるそうです。 

 狭い地域に同じ系統の仏像がまとまって伝わるのはとても珍しい、とありました。

 

そうなんですねぇ、狭い地域だからこそ同じものが伝わっていくのかと

思っていたのですが、それは素人考えだったようで。

 

次回は、少しですが購入したグッズについて書く予定です。