その①は、こちらです。
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山種美術館の《日本画の教科書展 京都編》で写真撮影可能だった作品が
はらはらと舞う雪は胡粉を筆で軽くたたいたような筆致によって
描かれ、牡丹雪の質感がみごとに表現されている。
見事な牡丹雪でございました。
本当に雪がのっているみたいに見えましてねぇ。
着物の帯も美しかったなぁ。
平成22年、秋の国際文通週間の切手の図柄に選ばれたとか。
郵便局のホームページに掲載されておりました。
90円切手が伊東深水、110円切手が鏑木清方、そして130円切手に
上村松園の作品が使われた、と。
前々から、上村松園作品の前に来ると、なんかこう気迫めいたものを
感じておりまして。
綺麗なんだけれど、なんだかスパっと切られそうな、いや、絵だから何も
切りつけられるわけないんですが、なんかこう、ただ綺麗なだけの絵ではない、
という感じがして。
その理由が、第2章で分かったのでございます。
第2章の記事で書きますので、ご期待ください!?
『狗子』西山翠嶂
動物画・人物画にすぐれた作品を残す。
可愛い。
一匹は すやすや寝てるのに、もう一匹は物音で起きちゃったのか、それとも
眠りにつく直前なのか、こっちを見ていて。
寝ている子犬も、なんだか真剣な顔して寝ていて。
どんな夢見てるのかな、とか。
『霜の朝』橋本関雪
京都にでて竹内栖鳳の竹杖会(ちくじょうかい)に入塾。
南画に新境地を拓いたのち昭和期には動物画へ移行。
鋭い眼光に、シャ!と引っかかれそうな爪。野性味あふれるとは、このことか
などと思い。勝手にイタチとかだと思っていたのですが。
リスって。あぁあああ、ごめんなさい。恥ずかしいわぁ。
『嵐山の春』冨田溪仙
南画的な筆致や、やまと絵の色彩を自在に取り入れた自由な画境を
生み出し異色の画家と呼ばれた。
『白熊』西村五雲
西村五雲も竹内栖鳳に師事した方だそうで。
この『白熊』を、東京藝術大学大学美術館の《ダブル・インパクト展》で
見た気になっていたのですが。
ここで展示されていたのは西村五雲の作品ではあるけれど、『熊図屏風』という
作品だったということが展示リストをみて判明。
そうか、確かに左右に熊がいた。うん、屏風だったかも。
《雪村展》へ行ったら、《ダブル・インパクト展》の図録がないか聞いてみよう。
なんで購入してこなかったんだ、自分。
そうそう、『白熊』。
西村五雲について調べていると『咆哮』という作品がでてきて、
それが、この『白熊』とそっくりなんですけど?!
途中で名前が変わったとか、それとも、別の作品なのか?????
それにしても、まずもふもふのお尻に目がいって、可愛いな~と思っていたら
なんか表情が得意げだな~と思っていたら、足元にガッツリと獲物を捕らえている
という。
この驚きというか。
そりゃ、得意げな顔してたわけだ、と。忘れられない一枚です。
このあたりで、【国画創作協会】について説明が。
野長瀬晩花、小野竹喬の5名を中心に結成。
文部省美術展覧会(文展)の審査基準の不明瞭に対する反発を背景に
革新的な日本画の表現を求めたことによります。
しかし主要会員の渡欧と関東大震災による計3回の休会、経済的な
ひっ迫や社会的な情勢変化などを要因に昭和3年までに9回の展覧会を
実施したのちに解散。
結成が大正3年(1918)で、解散が昭和3年(1928)とのことなので
10年間の活動だったようで。
『裸婦図』村上華岳
ぜんそくの悪化により芦屋へ隠棲。
以降は画壇を離れて求道的な制作活動を行う。
この作品以降、生身の女性を描くことはなかった。
人間永遠の憧憬の源であり理想の典型である「久遠の女性」。
モデルの女性はいたようですが、どうもその女性の肖像という訳では
ないようで。
久遠の女性
人間には押さえてもおさえ切れない美に対する憧憬がある。
これを象徴したのが「久遠の女性」であると思う。
我々の理想とするあらゆる諸徳を具えた女性ということになると
それはどうしても普通の女性ではなく又男性でもなく性を超越した
中性とも称すべきものになることは否むことができないと思う。
『画論』1941年
『芥子図』土田麦僊
写実と装飾の融合を目指し明快な構図と配色を追及した。
黒猫会(ル・シャノワール)、仮面会(ル・マスク)の結成に参加。
解散後、官展に復帰。
『香魚』土田麦僊
本物のようでありつつ、どこかユーモラスというか。
葉っぱの端っこの表現なども好きな作品です。
土田麦僊の作品を見ていると、なんだか気持ちがやわらぐなぁ、と。
『志ぐれ』入江波光
大正7年(1918)協会結成時は辞退。翌年には同人。
(協会)解散後は文壇を離れ独自に制作。特に古画模写に才能発揮。
昭和10年前後から水墨画を盛んに描くようになる。中でも目立つのが『志ぐれ』のように風雨の景色を題材とした水墨画。
風にしなる細い竹や枯木にとまる鳥は繊細な筆致で描かれ墨のかすれや
にじみを活かし風雨に煙る景色を巧みに表現。
右下の遠景描写は室町期の水墨画の定型表現にならったものであろう。
『晨朝』小野竹喬
学校在学中、黒猫会・仮面会の結成に参加。
風景画を中心に明るくやわらかな色調の画風を確立。
竹と雲を組み合わせた作品を繰り返し描いている。
「風にそよぐ 若竹のうちより 雲わきぬ」(自作の句)
「絵には詩情とリズムがなければいけない」
師匠が同じでも、それぞれの考えと表現方法を確立していった教え子も
それを伸ばした先生もすごいなぁ、と思うのでありました。
これにて第1章は終了。
第2章も、いずれ書き上げたいと思っています。