1章ずつ私の妄想的な感想を書くシリーズ第3弾です。
今回は、展覧会の目玉ともいうべき『四季』と『四大元素』の連作について。
真面目な考察は一切ございませんので。ええ。
作品の展示位置を、大変ざっくりと図解させていただくと
展示室へ入ると、まず『水』が目に飛び込んでくるため一直線に見に行きました。
のちのち考えてみると、まず左手へ進んで四季の順に右回りに見ていくのが
正しかったんだろうかとも思いましたが、ま、いっか。
中央にソファがあり、かなり人が座れるようになっていました。
連作が飾られた部屋の隣には、8作品を同じ大きさに拡大したパネルが展示されて
いました。
そうなんですよね、一枚ずつの絵の大きさも違うし、横一直線で展示するわけにも
いかないと思うので、こうやって並べてもらえると見やすいなぁ、と。
左:『大気』 ジュゼッペ・アルチンボルド(?)
この『大気』と、あとで出てくる『火』はアルチンボルドの作品とはまだ確定して
いないようで。
で、『大気』も『火』も出品作品リストには「スイス、個人蔵」という表記が。
同じ方の所有なのかは分かりませんが、絵の感じが似ているなぁ、と素人ながらに
思っていたら、「同じヴァージョンに属していたと考える研究者もいる」と図録に
書いてあって、ほうほう、と。
アルチンボルド作とされている作品と比べてコンディションが少々…うーんという
感じなのもあるのですが、緻密さが、うーん物足りないような気も。
(今後、個人蔵の2作品も真筆と判断された暁には、私のこの文章は闇に葬らねば。
なんちゃって)
というのも『大気』の横に展示されている『春』の綺麗さが際立っていて。
っていうか、あれかな額が。個人蔵の2作品は額があってないようなぐらいの感じで。
いや、さすがに額はあったと思うんですが、まったくそっけない感じの。
いや、そっけないのがいけない、という訳じゃないんです。
けれど、他の作品と並べてしまうと絵の存在感が違って見えてしまうというか。
本当は所有者の方の好みの額なのかもしれないんですが、すみません。
もしかしたら真筆かも、という作品を持っている方々ってどんな気分なんでしょうか。自分では一生縁のない心境なだけに、ちょっとお聞きしてみたいような。
早く鑑定結果が出てくれないかなぁとか思うんでしょうかねぇ。
自分の好きな作品だったら、別に真筆じゃなくてもいいって思えるのかなぁ。
でも、真筆だったらいいなぁ、とは思うんだろうなぁ。などと止まらぬ妄想。
『大気』の説明
多数の鳥の中にはハプスブルク家を象徴する鷲や、家の紋章に登場する
孔雀も描かれている。
孔雀の羽根が肩のカーブを表現していたり、よくまぁ配置を思いついたなぁ、と。
鳥が描きこまれすぎていて種類の判別が難しいそうなのですが、隣の『春』には
約80種類の植物が、『水』には60種以上の生物が描かれていることが分かる
ってことは、『大気』も識別可能な感じに描かれていても不思議はないかなぁ、と。
さっきから、すごく”真筆じゃない説”っぽくなってますが。
皆さん、実際に絵を見てどう感じられたのか少々気になります。
右:『春』 ジュゼッペ・アルチンボルド
帽子の羽として描かれる白百合、胸元のアイリス、耳を形作るシャクヤクなど精妙に描かれた80種以上もの花々で女性の横顔が構成されている。
その中には、アジア、アフリカ、アメリカなど遠く離れた地域の花も含まれる。
何が驚いたって、女性だったこと。
女性だった!!!この連作、すべて男性だと思い込んでいたので、展示室で説明を
読みながら「ひぇ~~~」って口に出していたかもしれません。
言われてみれば、イヤリング、赤い唇、なにしろ花で埋め尽くされている訳で。
最初は、全体をざーーーっと見ていって、あ、歯までも花だ!とか、肩のラインは
植物を逆さに描いてるんだな、とか。
で、そのうち1つ1つの植物を観察し始める、と。
どの植物も細かく、植物図鑑のように描き込まれ。しばらくミクロの世界に。
そしてふと、「あ、そうだ、これは絵の一部にすぎないんだった」と少し後ろに
下がって絵の全体を眺めマクロの世界に浸る、と。
すると、その巧妙なパズルのような配置に感嘆してしまう、と。
で、気づくとまた1つ1つの植物をつぶさに見て、と近づいたり少し離れたり、を
際限なく繰り返してしまうのでありました。
目の表現が、まさか1つの花びらで構成されてるとは。うーむ。
背景が黒なのも、その美しさが際立つし、輪郭が背景の黒に溶け込むように描かれて
いるからなのか、余計に立体的に感じられる気が。
それにしても、80種以上を組み合わせるという、その根気強さ。
一体、構想が固まるまでどれぐらいの時間を要したんだろう。
それだけの種類(もしくは、それ以上)をスケッチしていたということは、宮廷に
付属する植物園の種類の豊富さを物語っているんでしょうか。
長くなってきたので、続きは次回に。