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ボストン美術館の至宝展 Ⅰ 異国を旅したボストニアンたち ②

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

東京都美術館で開催中のボストン美術館の至宝展についての感想を少しずつ

書いております。今回は第2弾。

 

前回は、こちらです。

usakameartsandcinemas.hatenablog.com

 

Ⅰ章の最後は日本美術。

今回の記事は、この日本美術についてのみ書こうと思います。

 

 

国外にある日本美術コレクションとしてはボストン美術館のものが最大で、その数

約10万点だそうです。

 

※前回に引き続き、写真はボストン美術館のホームページよりダウンロードしたものを

 使用しています。

 

 

尾形光琳尾形乾山『銹絵観瀑図角皿』

 

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 展示ケースを遠くから見ただけで「あ!乾山では?」と思う、四角いお皿が。

 はて、銹絵(さびえ)とは?と思ったら、野々村仁清の作品のときに説明があり

 ました。

 

野々村仁清『銹絵鳰形香合』

 

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銹絵とは釉薬の下に黒褐色の文様を鉄で描く技法

 なるほど、鉄だから銹、なのですね?

 羽の表現方法が面白いなぁ、と思いながら見てました。

 

 

 ボストン美術館のなかでモースコレクションと呼ばれているコレクション。

 その日本の陶器は40ヶ所以上に及ぶ地方の幅広い時代の代表的作例を体系的に

 収集したことを特色としていると説明にありました。

 それって、知識がないとできないことですよね。つまり、誰か指南する人がいた

 ってことなのかな。

 

 

今回の展示では、コレクションを寄贈(遺贈)した方たちについてもパネルで紹介が

ありました。

たとえばウィリアム・ビゲロー氏。日本に7年間滞在したそうで。

ボストン美術館に5万点以上に及ぶコレクションを寄贈、この数は同館史上最多だ

そうです。

個人で5万点以上をコレクションできる財力も、収蔵スペースがあるのも凄いなぁ。

 

 

・司馬江漢『秋景芦雁図』

 

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 まるで油絵、というメモが。秋田蘭画を思い出しました。

 

 西洋美術史家の高階秀爾氏によると

 

西洋風に近景を大きくして、遠くには水平線。顔料に油も混ぜている。

幕末の開港以前も江戸は長崎を通じて西洋に開かれていたということ

です。

 

 

与謝蕪村『柳堤渡水・丘辺行楽図屏風』

 

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 両脇から肩を支えられている人が何人もいたり、おんぶされている人も。

 行楽図ってことは、皆さん気分良くお酒を召し上がったのかな。 

 

 全体的に優しい雰囲気の屏風図で蕪村作品いいなぁ、と。

 蕪村晩年の作品だそうです。

 

 

 ・英一蝶『月次風俗図屏風』

 

1年12ヶ月の風俗を描いた月次絵のひとつ。

屏風の画面を上下に分け、それぞれ右上から左下へと時を推移させて

いる。

 

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 細かく丁寧に描かれていて、生き生きとした人の暮らしが垣間見える気がして

 時間がいくらあっても見飽きない作品でした。

 

 

・英一蝶『涅槃図』

 

 

 江戸の風俗だけでなく、仏画も描いたという英一蝶。

 作品の大きさは縦が約2.9m✕幅が約1.7m。

 絵の部分だけでも約2.8mはあるそうで。想像を遥かに超える大きさでした。

 多くの人が絵の前で祈りを捧げるために、これほど大きな作品になったのでは

 ないか、と。

 そして、修復後ということもありその美しいこと!

 

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ボストン美術館の至宝展のチラシの裏面には、この『涅槃図』について説明が

どどーんと。

もしチラシをお持ちでない方は、東京都美術館のホームページにチラシのPDFが

掲載されておりました。

 

 東京都美術館内のカフェでお茶をしたとき、レジの横に東京都美術館ニュースという

冊子が置いてありまして。そちらもPDFになっていますので、興味のある方は

ご覧くださいませ。

 

釈迦が入滅し十大弟子、菩薩、羅漢や様々な動物が嘆き悲しんでいる場面。

とりわけ動物の親子・家族が多いのは亡き父の菩提を弔うという発注者の意図を

汲み取ったからではないか、と。

 

 

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 左右に4本ずつあるのが沙羅双樹で、右4本は青々と、左4本は黄色っぽくなり

 枯れているのは”四枯四栄(しこしえい)”という意味があり、自分の身は滅んでいく

 けれども、教えはそのまま受け継がれていくという釈迦の思いが表現されているとも

 言われているそうで。

 

 

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 右端にいる、白髪で山盛りのご飯を持った人物が純陀。

 釈迦に最後に供物を捧げた人でもあり、この人の食事で釈迦は食中毒を起こして

 亡くなってしまうという。

 ? 食中毒だったのか……。 え?本当に?!!

 

 恥ずかしながら、私この年になるまで(いくつだよ)お釈迦様の死因を知らずに

 生きてきました。てっきり老衰だと。てっきり、というのも変な表現ですが。

 みんなが尊敬し必要としている人物が自分の食事で死んでしまうなんて。

 な、なんて辛い体験なんだ。

 この絵で純陀が持っているご飯、粒が見えるぐらい細かく描いてありました。

 

 というか、こちらの絵も人物・動物の表情、衣装、宝台の模様、すべてが細かく

 美しく。上の部分を単眼鏡で、下の部分はしゃがんで横から眺めておりました。

 

 あ、そうだ、動物だけでなく霊獣なども描かれており51種類、約70ほど。

 ミミズク、スズメ、獏、迦陵頻伽、蝶、コウモリ、犬、サイ、蜘蛛、ジャコウネコ、

 豚、ヒョウなどなど。

 

 

「そんなの信じられないよー!!」とばかりに、お腹をだして動揺している白いのは

 象でしょうか??尻尾が違うから、霊獣??

 

『涅槃図』の横には説明パネル、そして”涅槃図の修理”という1分20秒のビデオが

流れておりました。

そのビデオで軸首の唐獅子図が映りまして、ああ!それで『涅槃図』の下部分が

左右から覗けるようになっているのか!と。

軸首を見られるように、という配慮なのですね。 

 

ここまで肉眼ではハッキリは見られませんでしたが、っていうか単眼鏡を使うのを

忘れていたので、使えばハッキリ見えたのかもしれません。

 

 

 後日、「美の巨人たち」で取り上げられていたのでメモ↓

usakameartsandcinemas.hatenablog.com

 

 

このあたりで、チャールズ・ゴダード・ウェルドという人物が紹介されていました。

彼はボストンの外科医で、1886年に船が横浜で損壊したのがきっかけで、

フェノロサたちと合流し日本美術の一大コレクションを築いた、と。

なんというきっかけ。台風で船が壊れなければ、日本美術に興味を持つことなく

日本を離れていたのかもしれず。

この人が、フェノロサのコレクションを買い取り、のちにボストン美術館へ遺贈

したそうです。

 

台風で船が損壊というと、シーボルト事件が思い浮かんでしまいました。

シーボルト事件は損壊というか、座礁だそうですが。

 

 ・鳥居派『絵看板 錦木栄小町』

 

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 現存する最古の絵看板だそうで。

 かなり大きかったので、さすが看板!目立つ!と(なんだ、その安易な感想)。

 それにしても、よく今まで残ったなぁ……。

 

 

酒井抱一『花魁図』

 

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 ビゲロー入手後は河鍋暁斎が所蔵していたという作品。 

 しかも、優れた出来栄えから抱一の師・豊春の作品とする鑑定を左下に書き入れた

 というからビックリ。え、そ、そこに書いちゃうんですね、みたいな。

 

 

・岸駒・呉春・東東洋『梅に鹿鶴図屏風』2曲1双のうち右隻

 

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 こちらの右隻はビゲロー、下で紹介する左隻はフェノロサの旧蔵品とのこと。

 ふたりはしばしば一対の屏風や掛け軸を共同で購入し、作品を共有していたと

 説明にありました。

 欲しいものがたくさんあったら、どれを買うか悩んだりしたんだろうなぁと

 勝手に妄想。

 

 

・松村景文/岡本豊彦/東東洋『松に鹿蝙蝠図屏風』2曲1双のうち左隻

 

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 これも好きだったなぁ。

 蝙蝠が可愛くて。私は河鍋暁斎の描く蝙蝠が好きなんですが、この蝙蝠も好き

 だなぁ。東東洋(あずまとうよう)、これからチェックしていこうと思います。

  右隻では鹿を担当されたのが東さんのようですね。

 

 みんなで描くとなると、最初の人は間違えても紙を自分で負担すれば(?)

 こっそり書き直しができるだろうけれど。その後に描く人は失敗できないから

 さらに緊張が増しそうだなぁ、なんて思いながら見ていました。

 いや、皆さんプロだから失敗しないか……。

 

そんなわけで、日本美術。大変大変堪能いたしました。

このコーナーすごい楽しかったです個人的に。贔屓するわけではないけれど、

日本美術面白いなぁ!美しいなぁ!と。

 

と、長くなりましたので、この辺で〆させていただきます。