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アルチンボルド展 Ⅱ.ハプスブルク宮廷 その④

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

 

そろそろアルチンボルド展の第Ⅱ章を抜け出して次の章へいかないと。

第Ⅱ章の最終回は『四季』と『四大元素』から各2作品について。
私が一番好きな組み合わせだったのが、こちら。

 

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左:『大地』

大半が有蹄類とネコ科の動物で、野生のイノシシ、ヘラジカ、アカシカなどなど。
多くは準備素描が残されているとのこと。

そうかぁ、個人的には犬も好きなので犬も入れたバージョンはないのかと思ってみたり。
それとも皇帝が猫好きだった??

 

ギリシャ神話の英雄ヘラクレスがまとっていた毛皮を表すライオン、ハプスブルク家が属していた<金羊毛騎士団と関連する羊などが描かれ皇帝を象徴している。

 

そうそう、ライオン。元気ないなぁと思ったら、生きてなかった、毛皮だった。
絵をパッとみて、これはヘラクレスの毛皮だな、と思える自分にいつなれるのか。
そもそもギリシャ神話に何度チャレンジしても、途中でギブアップしてしまうしなぁ。
何冊もギリシャ神話関係の本が部屋に積まれているという。とほほ

 

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ぎゅうぎゅうですよ、動物たちのぎゅうぎゅう。
可愛いったらありゃしないです。中には、鋭い目つきでこちらを見ているのもいますが。
象の耳で耳を表現するところも可愛い。
まさに動物図鑑のようで見ていて楽しかったです。

 

『秋』

ぶどう、栗、梨、きのこ、じゃがいもなどから成る頭部、ワインの樽を連想させる胴体と季節の産物で彩られています。

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ええ、図録を見ていて気が付きました。
カボチャの上に、かたつむり。まったく会場では気がついていませんでした。
どこ見てるんだ私は。
秋の実りが美味しそうだなぁ、と思いながら見てたから。
きっと目が食べ物しか見てなかった……。

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左:『冬』

右下にはアルチンボルドのサイン、そして裏側には”1563 冬”の銘があるそうで。
つまり、この作品はマクシミリアン2世に贈られた最初の連作の1枚とのこと。
これを皇帝も見たわけですね。当時ならば、絶対に見られなかった絵を現代の私が上野で見ているなんて。面白いなぁ。
いや、当時私が生きていたのか、って話ですけど。
もし私が生きていたとしても平民だったと思うので、絶対見られなかっただろうな、という妄想です。はい。

 

背中に部分的に見えるMは翌年皇帝になるマクシミリアン2世の頭文字。ほかにも皇帝の象徴がいくつか隠されている。古代ローマにおいて冬は年の始まりとされることもあった。冬にマクシミリアン2世を重ね、他の季節を伴わせることで
ハプスブルク家の永遠の統治を象徴している。

 

ちなみに、この絵に描かれたのと同じようにMの字が織り込まれたマントがマクシミリアン2世のお墓に収められていた、と図録の説明にありました。
すごい。マントが残ってるなんて。

それにしても、レモンが冬の果物だったなんて…………。

右:『水』

60種以上もの水に関する生き物の縮尺を無視して描き込まれ不気味な横顔を作り出している。
ウニのような生物のトゲによって王冠が表されており皇帝の姿が重ねられている。

目はマンボウの目、口はサメの口。

これは『大地』の耳が象の耳というのと同じ趣向?ですね。
それにしても、これだけの数を配置するの大変だっただろうなぁ。
縮尺を無視して、とはいえ、個体は正確に描かれているそうですし。

なんだか、こう見るからに水っぽいなぁ、と思った作品でした。(なんだそりゃ)
真珠のネックレスやイヤリングをしているのも心憎いというか。

 

7月号の芸術新潮をパラパラとめくっていたら、この真珠と海に関するものを描いた『水』は、女性を描いたものではないか、と。

うわー。『春』だけじゃなく『水』も。こんなに魚魚してるけど、なるほど。
確かに、そういわれると女性に見えてきました(流されやすい性格)。

この芸術新潮には、魚の種類もすべて紹介されているし、もうその他にも盛り沢山な内容で読むのが楽しみです。

というわけで、次回は第3章へ進みたいと思います。