ミケランジェロ PR

ミケランジェロと理想の身体展でミケランジェロの彫刻を見た話

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

 

国立西洋美術館で開催中の《ミケランジェロと理想の身体展》。
グッズについては、すでに2回書いておりますが。

まだ書き足りないので続きをば。

なんといっても、ミケランジェロの彫刻について書いてなかった!

『ダヴィデ=アポロ』ミケランジェロ・ブオナローティ

『ダヴィデ=アポロ』は全身が写ったものなど、何ポーズか絵はがきの
種類があったと思います。

コツコツと彫られたノミのあと。

私は単純な人間なので、最初の感想は「本当に手で彫っているんだ!」と。
そして「ミケランジェロって生きていたんだ!!」。

そりゃもちろん生きてたでしょう!って声が聞こえてきそう。

縄文展のときに、クルミがポシェットに入っていたというのを知ったときの
「縄文人って、本当にいた!」って思ったのと、まったく感想が変わらない
のもどうかとは思うのですが。

ですが、ほら、見たことないから。完成した作品でしか、または書籍など
でしか彼の存在を知ることができないから。

完成した作品も彼が生きていた証明ではあるんですが、あるんですけど。
完成した作品にミケランジェロのぬくもり(??)は感じないというか。

制作途中だからこそ、生身の人間が作っていたことを実感するというか。

完成すると、もうそのものでしか見なくなってしまうというか。
だから、この像がアポロもしくはダヴィデとして完成していたら、私は
アポロもしくはダヴィデの像としか認識せず。
あぁ、こんなにも石に温かみがあるなんて、とか血が通っているかのよう、
とか感想を書いたんじゃないかな、と。

この作品は石のなかからダヴィデもしくはアポロが抜け出してくる途中を
見ているかのような不思議な感じもしました。

彫刻は、石や木のなかに埋まっているものを彫り出していくという感覚の方が
いらっしゃるそうですが、なんだかそれが「あぁ、こういうことなのかな」
というのを目のあたりにできるといいますか。

ミケランジェロ自身は

ミケランジェロ
ミケランジェロ
どんな石の塊も内部の彫像を秘めている。それを発見するのが彫刻家の仕事だ

と語っていたそうです、展覧会のチラシに書いてありました。

元々の大きな石から、ここまで削り出すのにどのぐらいの時間がかかる
ものなのか。

そして、単純に手首は腱鞘炎にならないのだろうか、とか。
かなり体力がいるんだろうなぁ。その上、絵画や建築も手がけるなんて。
次から次へとやりたいこと、形にしてみたいことが沸き起こるのかしら。

そして、果たしてダヴィデなのかアポロなのか。
もしかしたら、アポロとして彫り始め途中でダヴィデに、もしくは、
その逆の可能性もあるかもしれない、と図録に書いてありました。

途中で変更する!!!そんな器用なことが。

そういえば、アート・オン・スクリーンのなかで40年ほど放置された
制作途中の石像をミケランジェロがダビデ像に仕上げた、という話が
でてきたな。

しかも、衣服を着ている状態だったものを脱がせたとか。

他の人が途中まで作っていたものを、自分の好きなように変更できる
ぐらいなら自分が作ろうとしたものを途中で変更することだって別に
難しいことではない、のか?

まだ、この段階だったから変更が可能だったのかもしれませんが。

それにしても完璧主義といわれるミケランジェロが、未完の像を残して
くれたからこそ現代の私が見られたわけで。

なんでも晩年には満足のいかない作品を壊してしまったそうですし、
もしこの像が身近にあったら壊されていたかも??

自分のお墓の上に設置予定だった像は大理石がヒビだらけで思うように
表現ができず、ハンマーで壊しにかかったところを弟子とヴァンディーニ
という人が止めに入ったとか。

で、ヴァンディーニはその破片をつなげで庭に置いたとか。
ええ、それもアート・オン・スクリーンで教わったんですけど。

それが『ヴァンディーニのピエタ』だそうで。
ミケランジェロが知ったら怒りそうだなぁ、なに勝手に繋げてんだ!とか。

で、話は戻りますが。

個人的には勝手にアポロじゃないのかしら、と。

アポロかダヴィデか結論が出ないのは、右足が踏みつけているものと、
背中に背負っているものが未完で決め手に欠けるからみたいなんですが。

全体的に、ほぼ輪郭がとられている(彫られている)状態で。

右足で踏みつけているのがダヴィデが倒したゴリアテの頭ならば、もう少し
顔の輪郭なりが彫られていてもおかしくないのでは?という勝手な妄想。

あと背中に背負っているものに厚みがあるから私としては矢筒に見えるの
ですが。
投石機なら、もう少し薄くてもいいんじゃないのかな、という勝手な妄想。
そもそも私が思い描いている投石機で合っているのかという疑問も。

もしダヴィデならゴリアテを倒して、なんだか浮かない表情で武器を戻して
いる場面にも見えますよね。
少なくとも倒したあとなら、投石機を取り出すという行為はないだろうし。

もしアポロなら、まさに弓を取り出そうとしている場面。
何か自分の目線より下にあるものを、今まさに狙おうとしているのか。

あれ。決定的に、アポロって感じじゃないな。

でも、実物見るとアポロに見えるんですよねぇ(ものすごい逃げ)。

皆さん、どちらだと思いますか?(さらなる逃亡)。

 

そして、もう1つのミケランジェロ作品。

『若き洗礼者ヨハネ』

私、初めてチラシでこの作品を見たときに顔の上下で色が違うので仮面を
つけている?
ん??と不思議に思っていたのですが。

1936年のスペイン内戦で被害を受けた、とのこと。
残った破片の数は14。図録で、その写真を見ることができました。

写真の右側で白いのが、そのオリジナルの破片。
緑色の部分が復元のために作られた部分。

そして復元部分は軽さと融通性を考えて素材を選択、ミリ単位で調整し、
いつ新しい破片が見つかっても差し替えられるようにマグネット接合
システムなるものが導入されているとか。

破壊されてから80年。難しいかもしれませんが、いつかひょっこり新しい
破片が見つかるといいなぁ、と。

 

展示の最後の章はミケランジェロ自身について触れられおり、後世の人々が
制作したミケランジェロの銅像、絵画などの展示がありました。

『ミケランジェロの肖像』ドメニコ・クレスティ

『モーセ像を制作する<ミケランジェロ』 という小さな彫刻が個人的には
好きでした。

ミケランジェロはカノッサの伯爵家の血筋という高貴な家柄に生まれた
ということをとても誇りに思っていたようです。
が、残念ながら裕福ではなかったためお金を貯め土地を所有した、と。

↑ここの部分はアート・オン・スクリーンで、ええ。

そして、今回の展示で最初の方からちょいちょい出てくるミケランジェロの
鼻についての謎が、この章で明らかに。

なんでも、青年時代にピエトロ・トッリジャーノから拳骨をくらって骨折し、
鼻がつぶれてしまったとか。

で、トッリジャーノについて軽く検索していたら。

東京都美術館開催された《ボッティチェリ展》で展示されていた『ロレンツォ
・イル・マニーフィコの胸像』がトッリジャーノ帰属の作品でした!

ボッティチェリ展よかったなぁ。あれは、良かった。本当に良かった。
しみじみ

2016年は日本イタリア国交150周年の年で、イタリア関係の展覧会が
たくさんありましたよねぇ。

で。

まぁ、そもそもはミケランジェロがトッリジャーノのデッサンを批判した
ことが原因だそうで。
殴られたってことは、相当ボコボコに指摘したんでしょうかねぇ。

ミケランジェロは気難しくて、短気で、自尊心が強い人だった、と。
教皇レオ10世に「ミケランジェロはひどいものだ、誰の手にも負えない」と
言われたそうだし。

単独で仕事をするのを好み、スティーナ礼拝堂の天井画もフレスコ画の技術に
長けた友人たちの手を借りること無く助手をつけただけだったとか。

そこで手を借りていたら、無理な体勢で仕事をする時間も減って身体を壊す
ことも最小限に済んで、もっともっと色んな作品を作れたかもしれないのに……。
でも、自分が納得できる仕事をするにはそれしかできなかったんでしょうねぇ。

教皇といえば、レオ10世の前に教皇だったユリウス2世が「システィーナ
礼拝堂の天井画はいつできるのか?」とミケランジェロに聞いたら、なんだか
答えが気に食わなかったらしく。
教皇がミケランジェロに向かって「足場から突き落とされたいか?」って
言ったってエピソードもすごいけど。

 

で、展覧会の最後の最後に驚いたのが。

ミケランジェロはローマで死去したものの、甥のレオナルドは彼の亡骸を
盗み出しフィレンツェに運んだ、ということ。

えーーー、知らなかったなぁ。

甥っ子さんには手紙を書いたり物を送ったり、また甥っ子さんからも食べ物が
送られたりしていたというのは以前の展覧会で説明を読んだことがあったの
ですが。

ええー。そうだったのか。

おじの亡骸を引き渡してください、とはいえない状況だったんですかねぇ。

亡くなったのが2月18日、フィレンツェに到着したのは3月11日。
……考えてはいけない。想像してはいけない。いや、防腐処理とか?
寒い時期だったから……???

だって、フィレンツェの人々が敬意を払えるよう遺骸が安置され、翌日に
ようやく埋葬された、って図録に。

……ま、それにしてもわざわざ遺骸をフィレンツェに移した甥っ子さん。
本当におじさんのことが好きだったんだろうなぁ。
ミケランジェロもビックリしただろうなぁ。亡くなってはいるけれど。
と、最後の最後で思わぬことを知ってしまった展覧会でした。

彫刻、絵画、そして建築。

昨年、三菱一号館美術館でミケランジェロの彫刻を見て、今年も見られて。

でも、そうそう彫刻も持ってこられるものではないだろうし。
ましてや建築物は、もう絶対無理だから。

いつかミケランジェロの建築と、ウフィツィ美術館の展示を見るために
イタリアへ行きたいのでサマージャンボに高額当選した方は連絡いただけると
助かります。

 

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