展覧会 PR

『栄西と建仁寺』展 其の弐  体験してみたい”四頭茶会”

※ 記事内に商品プロモーションを含んでいます

昨日に引き続き、『栄西と建仁寺』展について。

栄西という方は日本で最初に書かれたお茶の書『喫茶養生記』を
残すなど日本にお茶を広め、お茶の作法を禅の修行の1つとして
捉えていたとか。彼によって書かれた『喫茶養生記』も展示され
ていました。

会場には現在も建仁寺で開かれているという”四頭(よつがしら)
茶会”の空間が再現されてまして。

再現というからには模造品ってことなのかしら、、、と思い係りの
方にこっそり伺ってみたところ「襖以外は全て建仁寺からお借り
しています」とのこと。

なんとまぁ。

栄西の誕生日である毎年4月20日に、四頭茶会が開かれる
そうです。
私が見に行ったのは4/18でして、今年はどうするんだろう??
という疑問が。
まさか開催されなかったのかしら?????

壁には左から虎・栄西・龍の大きな掛け軸が三幅。
その前に置かれた机の上には花瓶・燭台・獅子香炉の三具足。

会場には茶会を説明する映像が流れておりました。

京都の無形民俗文化財としての建仁寺四頭茶礼という文章(PDFです)
には、お寺の歴史や茶会の流れも載っておりました。

この文章によりますと

>四主頭(ししゅちょう)と呼ばれる4名の正客(しょうきゃく)および
>それに随伴する相伴客をもてなすために、定められた作法で給仕をする
>建仁寺でも特別な喫茶儀礼であるといえる。

ということは、4名だから「四頭」ということでいいのかな。

一席およそ20分で、会話はなし、とのこと。
会場で映像を見ていて思わず笑ってしまったのは、お客様に出される
「ピリ辛こんにゃく」。
紅白のお菓子と一緒に、ピリ辛こんにゃくが出されるというのです。

先ほどご紹介した文章にも

>紅白の紋菓・椿の葉にのせた「ぴりコン(醤油で炊いた蒟蒻)」

とあります。

甘い物の後には、辛いものが食べたくなりますし。
って、そうゆうことではないですよね。
なぜ、ぴりコン。どなたか理由をご存知でしたら、教えてくださいませ。

ちなみに、ぴりコンは現在お寺で作らずに仕出し屋さんが作っていると
先ほどの文章に載っておりました。

ぴりコンの作り方も、最後の方に紹介されてまして
「蒟蒻を焦がさぬよう2~3時間かけて醤油辛く炒って作る」そうです。
すみませんでした。まさか、そんなに手間のかかるものとは。

この茶会で珍しいのは、”正客以外の方々には、立ったままお茶を点てる”、
お湯を入れた浄瓶(簡単に言うとポットのようなもの?)の注ぎ口に、茶筅を
挿して運ぶところではないでしょうか。

茶筅を注ぎ口に挿す。

斬新すぎる、その光景。会場のテレビでお愉しみください。

くどいようですが、さきほどご紹介したPDFの7ページにも写真が掲載されて
おりますので、宜しければご覧ください。

一般人でも参加可能という情報もあり、機会があれば参加してみたいような
そんな気になってきました。

さて、展示の話に戻りまして。

坐像も見事なものが色々と。

個人的には、まず退耕行勇坐像に心奪われました。

ちょうど目のところにライトが当たるようになっておりまして、
玉眼がキラっと輝くように展示されていました。

一番、私の心に響いたのは京都・霊源院蔵の中巌円月坐像。

こちらに画像があるのですが、、、ちょっと、これだと怖いかな。

確かに実際に見ても、ものすごい威厳を感じる坐像ではあります。
坐像が並ぶスペースに足を踏み入れた時から、一番奥にありながらも
ひときわ存在感を示している像でした。

まぁ、正面を向いて展示されていたせいもありますが。

うんにゃ。

ですが、それだけではない、ただならぬ気配を感じる坐像です。

見知らぬおじいさまが、奥様に向かって「わしゃ、これが気に入った!」と
力を込めて仰っていたので、思わず私が反応してしまい
「そうですよね。話しかけてきそうな感じすらしますね」と。
奥様、びっくり。そりゃそうですよね、いきなり他人が・・・ごめんなさい。
おじいさまは、「な!そうだな!これいいよな!」みたいな。
勝手に意気投合。ほんの5秒ほど、意気投合。

木のはずなのに。
なぜに、こんなにも息吹を感じるのか。
何かが宿っている、という錯覚を感じてしまう坐像でありました。
正面からだけでなく、ぜひ横顔も見ていただきたい。
個人的には鳥肌ものでした。もちろん、良い意味で。
この坐像の中から見つかったという毘沙門天立蔵も別のスペースに
展示されていましたが、こちらも素敵でした。
いや、素敵っていう表現はどうかとは思いますが。。。
キリリっとしていて、あの坐像に入れるに相応しいものだな、と。

展覧会の図録によると、中巌円月は

>人との摩擦の多い、特異な人物として知られるが、漢文詩には優れた
>天才である

本人が見たら、どんな顔するかな、という説明文。

ここまで書かれるってことは、相当な信念の強さを持った方だったんで
しょうか。
そりゃあ、坐像にも気迫が乗り移るよなぁ、、、と勝手に納得。

最後に、もう1つだけ。

112番の「三具足」。

展示品から、1つだけ持って帰っていいと言われたら(まぁ言われま
せんが)迷わず、これを持って帰ろうと思いました。

中でも、燭台がキュート!!えらいこっちゃ、めっさキュートです。
二頭の獅子が、龍の絡みつく軸部を支えているのですが。
この獅子たちの顔が、えらくキュートです。
ぜひ、ぜひ、会場で堪能いただきたいと強く思うのであります。

あー、、、また会いたいなぁ。ゴールデンウィーク、どうしようかなー。