東京都美術館で9月23日(火・祝)まで開催している『メトロポリタン美術館 古代エジプト展~女王と女神~』へ。
夏といえばエジプト展。
そんな感じがするのですが、気のせいでしょうか。気のせいじゃないかも。(自問自答)。
私が実際に足を運んだのは以下の2つ。
トリノ・エジプト展が2009年8月1日から東京都美術館で大英博物館 古代エジプト展~『死者の書』で読みとく来世への旅~は2012年7月7日から六本木の森アーツセンターギャラリーで。
その時の様子は、コチラに書きました。
私は行けてませんが、下記のような展示もあったようで。
2009年6月~9月には『海のエジプト展』がパシフィコ横浜で。
2010年7月~9月には『古代エジプトのミイラ』が平成館の企画展示室で。
エジプト考古学博物館所蔵 ツタンカーメン展 ~黄金の秘宝と少年王の真実~が2012年8月4日から上野の森美術館で。
そういえば、ツタンカーメン展は会期を延長するほどの盛況ぶりでしたねぇ。
話を戻しまして。
まずは、パンフレットにも載っている『ハトシェプスト女王像の頭部』に迎えられまして、1章エリアはハトシェプスト女王葬祭殿に関する品々が並んでおりました。
古代エジプトでは、大規模な建造物を作る際に”縄張り”と呼ばれる定礎式があったそうで。
まったく関係ないですが、ダムを作る際は定礎石が岩盤に埋め込まれ、通常は見えないとか。。。こちらに書いてありました。
古代エジプトの定礎式では建設予定地の重要な地点に縄を張り、角にあたる地点などに穴を掘り、大工道具(実際に使ったものでなく、儀式用レプリカの場合もあったとか)や、食べ物、奉納物などを埋めたとか。
今から約4000年前の人々も行っていた定礎式(のようなもの)。今も変わらず人間が行っている訳で、人間って昔も今も変わらずに大切にしていることがあるんだなぁ、、、なんて。同じく、人間って・・・と思った展示がありまして
左 : 『耳形の奉納板』 ハトホル女神への願いを込めて奉納されたもの
右 : トリノ・エジプト展で展示された『ウセルサテトの耳のステラ』
神が耳を傾けるように、ステラ(石碑)に「耳」を描いて気持ちを示した
個人的には、とても共感した品でした。
聞き届けて貰いたいからこそ、耳の形に作ったり、彫っちゃうという気持ち。その必死さが伝わるというか、当時そこにいたら自分もやるだろうなぁ、と。
ヒエログリフに心惹かれる私が心躍らせた品は、以下4品。
左 : 『二枚貝形の石』
右 : 『アクエンアテン王とネフェルティティ王妃のゴブレット』
左 : 『イシス神とアシュートのウプウアウト神の像』の裏面に刻まれたもの
裏面いっぱいに刻まれたヒエログリフの前で、しばし立ち尽くしてました
右 : 『太陽神賛歌を詠唱するロイの像』
この4点のヒエログリフの字体(?)が好きです(意味のない告白)。
ロイの像と似たものをトリノ・エジプト展でも見たなぁ、と思いカタログを引っ張りだしてみました。そうそう、『ステラを奉納する男性像』。
男性像の説明をトリノ・エジプト展のカタログから抜粋すると
ひざまずいてステラ(石碑)を奉納する男性像は、新王国時代に初めて出現した。ステラには、ほぼ例外なく、昇る太陽と沈む太陽への賛歌が記されていた。理由は不明であるが、女性がステラを奉納している像は見られない。
ほー。(それだけかい)
レリーフで一番好きなのは、こちら
『女神あるいは王妃、裏面には王を描いた石版』
タイトル長し。ですが、このタイトル通り石版の裏側には王の顔が逆さまに彫られているのでございます。裏側が見られるよう、展示ケース内に鏡も設置してありました。
なぜ、王様の側は未完だったのか??しかも、表裏に彫るなんて・・・。
王様の顔の出来栄えが良くなかったから受け取ってもらえず。石が勿体ないから、女神を彫った・・・???あくまで、私の邪推です。
そもそも、彫ってあるものとは言え、王様を邪険にしたら怒られそうだしなぁ。
女性の頭飾り(鳥の形の帽子らしい)の模様が、繊細に彫られておりまして。ガラスに額をこすりつけるようにして見てしまいました。なにゆえ、あんなにも均等に模様が彫れるのか。
間違えて削りすぎたりしなかったのか、納期はどれぐらいだったのか等々、色々と考えつつ見ておりました。石灰岩の柔らかな白さが、女性の美しさを更に引き立てている素敵な石版。
可愛いとは言いかねるけれど・・・
『呪術のための壺』
カバ、ライオン、ワニそして人間の女性の姿が組み合わされたタウェレト女神をかたどっているそうで。頭部に丸い蓋があり、中は空洞。
歯の間・後頭部・蓋の穴に開けられた三つの穴には、舌あるいは口から出る蛇を表すためのワイヤーがはいっていたのかもしれない、と。てっきり、歯が欠けてしまったのかと思ってました。図録購入して良かったー。
タウェレト女神は出産を司る神様で、女性と子供を守る神様として信仰されており母子のための呪術が書かれたパピルスが入っていたと考えられている、と。底の模様は、女神を呼び起こすためのものではないか、とのこと。
珍しいなぁ、と思ったのが
銀製の『マヌワイの献水容器』
エジプトでは、あまり銀が産出しないので、現在のシリアあたりから入手した銀を使ったのではないか、とのこと。銀。なんだか、斬新。
形としては珍しくないそうなのですが、そうですか、銀でも作りましたか。
今回の展示をみて、しみじみ思ったのですが。
エジプトの人たちは、地球上のありとあらゆる素材を加工し、神に捧げものをし、また、自分たちの生活に取り入れようとした人たちなんじゃないか、と。彼らに不可能なことはなかったのか?!と。いや、もちろんあったとは思いますが。
左 : 『魚形ビーズの腰帯』
右 : 『蝶番式カフブレスレット』
もう、なんだってこんなことまで出来ちゃうのか、と。
魚と魚の間に約9個ずつ小さな丸いビーズを通しているのですが、そのビーズを作れる技術が凄いし、魚形ビーズまで作っちゃって!蝶番って、こんなに古くからあるんですか?って話だし。
内側には、ヒエログリフでトトメス3世の名前が彫ってあって。どうやらトトメス3世が、奥様の一人にあげたんじゃないか、って。さすがに「永久の愛を」「心をこめて」みたいな文言は入れてないのね。
ところで、「結婚指輪 刻印」で検索したら「A deal’s a deal(この取引、手を打とう)」「Nonrefundable(払い戻し不可)」という例がでてきたのですが、それ本当?!
そんな文言を結婚指輪に入れている人がいたら、面白いかも。。。
と、そんなこんなで、寄り道が多く長くなりましたので今日はここまで・・・
続きは
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