昨日まで開催されていた《香合 百花繚乱展》。
やきものだから展示期間は長めかな、なんて勝手に思っていましたら1ヶ月ちょいだったんですね。
最終日に慌てて駆け込んできました。そもそも、この展覧会へ行こうと思ったのはサントリー美術館で《寛永の雅展》を見たからでして。
お茶の世界ってやはり深そうだなぁ、野々村仁清の作品もっと見たいなぁ、と思ったのがきっかけでした。
茶の湯の要素(って、言葉は的確ではないかもしれないけれど)の1つである香合だけでも、それはそれはすごい展示&情報量。
根津美術館が所蔵する約250点の香合のうち約170点が展示されるというなんとも豪華な内容。小さいものとはいえ、そんなにも大量の香合を一体どうやって収蔵しているのか。小さく分かれた引き出しとかに入れてるんだろうか、などと思いつつ。
で、香合の歴史や色んな種類があることを知ることができて書きたいことは山ほどあるのですが。
先に、展示室2で紹介されていた釜について書こうかと。
釜。
ぶんぶく茶釜。
いや、ぶんぶく茶釜は関係ないんですが。釜というと、私の頭のなかの引き出しにはそれぐらいしかなくて。今回の展示で一度に22点もの釜を見ていたら、釜だけでも深い!!ってなりまして。
茶の湯って、膨大な知識が必要ですよね。凄いな、よく皆さんやってらっしゃるな。
高校に茶道部があったので入部も考えたのですが。お目当てがお茶菓子だったものですから、どうにも動機が不純。しかし、お茶とお菓子を一緒に食べられる訳ではない、ということを知り早々と入部を断念。
お菓子は食べられるわけだし、少しでもかじっておけば良かったかなぁ……。
そういえば学園祭のときに、茶道部の友人に誘われてお茶席に参加しまして。その茶室では炉は切ってなくて、室外で立てたお茶を運んできてくれました。
なので、実際に釜で湯が沸いている光景というのは人生で一度も見たことがなくて。テレビでしか見たことがなくて。
展示室2の説明パネルをメモ書き。
釜は古くから湯を沸かすために必要な日常的な道具だったが室町時代後期、15世紀後半になると茶の湯においても使われるように。
当初、囲炉裏や風炉に置かれ茶も室外の茶立所で立てて運ばれていたがやがて茶室に炉を切って客人の前で釜で湯を沸かし、茶が供されるようになる。
16世紀終わり頃には炉の寸法も小さく規格化され、そこに常に置かれるようになった釜は茶席にとって大切な道具になった。
なるほど、我が高校の茶道部は15世紀後半のスタイルだったわけですね(違う)。
生産地は九州・福岡の近くにある芦屋と、関東の天明が知られ
やがて京都三条釜座を中心に個性豊かな釜が作られた。
今回の展示は室町~桃山、江戸時代の釜の姿を見られるとのこと。
芦屋って、兵庫県の芦屋市しか思い浮かばなかった……。
こちらに、芦屋釜の詳しい説明が。
この動画が凄かった。見てるだけなのに、緊張で息を止めてしまったほど。
youtu.be鋳型を作るまでも、かなりの工数がかかっているのに最後にはそれを割って中から釜を取り出すだなんて。
そして、釜の厚みに驚きました。もっと、ぽってり厚みがあるのかと思ったら薄い!
芦屋釜には動物や鳥を描いた作品も多く見られるそうで、疾走する馬がデザインされた『野馬文釜』が展示されていました。絵を描くだけでも凄いのに、それを鋳型に再現するだなんて……。
一方の天明釜は現在の栃木県佐野市で作られた釜だそうで。南北朝時代から湯釜が作られていた、と説明にありました。
ツイッターもホームページもない時代、九州や栃木の釜の存在を知るには口コミのようなものしかないですよね??茶道具に最高のものを使いたい、その思いが全国から釜を集め、中国に好みの磁器を発注するという。
恐るべし、茶の湯の世界。
でも、やっぱりすごく面白そうと思う今日この頃です。