現在、三菱一号館美術館で開催中の《ショーメ展》へ行きました。
ショーメ展のことだけ書こうと思ったのですが、今回あまりにも強く感じたので照明のことも書きました。
ダジャレではないです、ショーメとショーメーとか、そういう意味では。
はい。
ストレス無く普通に見られたよ?という方もいらっしゃると思います。
ただ、個人的には前々から三菱一号館美術館では(もちろん展示品にもよりますが)全体的に照明が他の美術館と比べても暗いんじゃないか、と感じていました。
今回特にそれが私には残念で。
もちろん、作品保護であることは分かっていますし、演出の部分もあるとは思うのですが……。
なので、ぶつぶつ書いてます。ぶつぶつ照明について書いてます。
なのでなので、特にストレス無く展示を見た方や、もしくは、展覧会について知りたいという方でも、この先を読むと不快に思われるかもしれません。
ですので、この先は読まないことをオススメいたします。
でも展示品はとても素敵だったので、書きたいのです。
まぁ私がぶつぶつ書いても何も変わらないのは分かっているのですが。
公式ホームページにも、館内の照明が暗いということに関して
作品借用先のご指定により、照度設定を行っておりますので、現状にて
ご理解頂きたく存じます。
と、明記してありますので。
もう、絶対変わらないとは思うのですが。
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最初の部屋から「!!」。
まず入口から部屋の右奥を見れば壁に、どどーんとナポレオン。
『戴冠衣装の皇帝ナポレオン1世』
彼が身につけているのが、本物の宝石なんだな、ということを実感。
もちろん、宝石の実物の展示はないのですが。
絵だけみたら、そこまで実物をイメージせずに私は終わっていたと思うのです。
でも実際に作った人がショーメの創業者であるってことは、そうか、絵空事なんかじゃなくて本物なんだ!!と。
隣には同じぐらいの大きさのジョゼフィーヌの肖像画。
あぁ、このティアラも実物があったんだなぁ。
ナポレオンは自分の肖像画をイメージ戦略の一環として使っていたと国立新美術館で開催中の《ルーヴル展》で知りました。
いやぁ、本当にすごい威力だな、イメージ戦略完璧。本人を見たことがない当時の人々も、つまり今の私もそうですが、この姿をみたら何だか有無を言わさぬ説得力というか。
で、ふと部屋の片隅を見るとガードマンの方が立ってらして。
何もない、その位置に?と不思議に思い。
よく見ると、小部屋が!!展示室の照明が暗めなので(ええ、分かっています、作品保護ですよね、分かっています、分かっていますが、私には展示品を十分に見られるほどの明るさを感じられないときが、この美術館では多いのです。残念ながら)本当に気づかなかったんです。
私、何回かこの美術館に来ているけれど、こんなところに小部屋ありましたっけ?!みたいな。
で、覗き込んでみるとこの『皇帝ナポレオン1世より贈呈された教皇ピウス7世のティアラ』が。
この写真はあくまでもイメージ図といいますか。
ショーメの工房での写真のようです。
今回の展示は、シンプルにこのティアラのみがガラスケースに入っておりました。
今回の展覧会のまえに、ショーメはヴァチカンから依頼されて一番上の十字架を新しく制作したとか。
エメラルドが大きすぎて本当にビックリ。414カラットのエメラルドだそうで。
小部屋のなかも照明がなぁ……。
地上から美術館へ入り、そうそうすぐには目が暗さに対応できてないからなのか。
一応、家族に聞いてみましたら家族もあの美術館は照明が他の美術館よりも暗く感じる、とのこと。
まぁ、少数意見なのかもしれませんが。その輝きは図録で堪能。
それにしても、ティアラっていうんですね。
ティアラというと、プリンセスがつける髪飾り的なイメージしかなかったもので。
そしたら「宝石をちりばめた冠形の女性用髪飾り」の他に、「ローマ教皇の三重冠」という説明が大辞林に。知らなかった、知らなかったなぁ。
そしてこのティアラを見て感嘆したジョゼフィーヌがショーメを「公式ジュエラー」として任命したそうで。
で、ショーメって私は勝手に創業者の方のお名前だと思っていたんですけど。
創業者の方はマリ=エティエンヌ・ニト氏だ、と説明にありまして。
え?ショーメは?ショーメはどこにあるの?と。
なんとショーメは7代目経営者のジョセフ・ショーメ氏のショーメだそうで。
……それまでは、なんて呼ばれていたの??という新たな疑問が。
特になかったのかしら。
先ほどのティアラのデザイン画が絵はがきになっていました。
デザイン画を見ると同じことしか書いてませんけれど、美しいものはデザイン
画の時点から美しい!
1章では、絵画と、その絵画に描かれた人物が身につけている宝石の実物が展示されているものもありました。
絵だと、やはり人物がメインになるけれど。宝石の実物も存在感があって綺麗だなぁ。
展示ケースに入っている作品には、その制作年の数字が洒落た書体で書かれていたのも良かったなぁ。
1800年代から現代までの作品が並べられたケースは豪華そのものだったし、『クラブのクイーンのブローチ』にはビックリ。
2章はナポレオンの最初の奥さんであるジョゼフィーヌと、彼女の娘、そして後妻のマリー=ルイーズをメインに。
どこで読んだのか、聞いたのか、ジョゼフィーヌってすごく浪費家で浮気がちでというあまり良い印象が私の中にはなかったのですが。
この展覧会では1章のジョゼフィーヌの肖像画のところから、すごく素敵な女性だった的な感じで書かれていて。
あれ、私の抱いているイメージとは違うな、と。
第2章の説明のところで
皇妃ジョゼフィーヌは、その繊細さや優美さ、溢れ出す個性において、
ショーメにとっては宝飾芸術にインスピレーションを与えるミューズで
あった。
なるほど。
ミューズを悪しざまには書かないですよね。
図録にはちょろっと、浪費家の彼女にナポレオンが怒り御用商人たちの出入りを禁じたと記載がありました。
それにしても、ジョゼフィーヌの宝石はどれも素敵でした。
細かな細工が施されこれは高価だったんだろうなぁ、と。
そして、このボリュームをつけても違和感がない人だったんだな、と。
私だったら、ぜったい不釣り合いだし、そもそもそれを身につけるドレスから作らないといけないし、でもいくら衣装がよくても、やはり品格がないと衣装も宝石も浮いてしまいそう。
展覧会のメインビジュアルに使われている『麦の穂のティアラ』。
麦の穂が風になびくようなデザインが素敵でした。こちらで動画が見られます。
『皇妃マリー=ルイーズのアクロスティック・ブレスレット』
結婚のお祝いとしてナポレオンからマリー=ルイーズに贈られたものだとか。
アクロスティック・ジュエリーとは宝石のイニシャルでメッセージをこめるというものだそうで。
一番上はナポレオンの名前と誕生日(1769/8/15)フランス語で8月=aout
真ん中がマリー=ルイーズの名前と誕生日(1791/12/12)
一番下は出会いの日付(1810/3/27)と結婚式の日付(1810/4/2)
恐らくですが、文字数から当てはめるとナポレオンの名前と誕生日が右から左へと石が配置されているような?
奥さんのと、一番下のブレスレットは普通に文字を書くように左から右に石が並べられていますよね。
こうデザインしたのは、なにか意味が込められているのかしら??
『ミクロモザイクの施された、皇妃マリー=ルイーズの日中用パリュール』
パリュールというのは、「さまざまのアイテムが揃ったジュエリーのセット」だとウィキペディアが教えてくれました。
このブドウの表現が好きで、とても繊細な細工に溜息。日中用ということは、夜もあったんでしょうかねぇ。
そして、驚愕の第3章 戴冠!ティアラの芸術へ。
驚愕には2つの意味があって。
これまた部屋の照明が。照明が、半端ない!
確かに、暗闇に浮かぶショーケース内のティアラたちは本当に美しかった。
これぞ贅を尽くした品々みたいな。
美しかったけれど、反対側の壁一面に飾られたティアラのモデルたちが見えない…。
説明文も、こんな感じ。かなり近づいても下の方とか暗闇。
こちらが、壁一面に展示されたティアラのモデル。
こちらはデジカメの設定で、肉眼で見たときよりも少し明るい感じに。
図録に、「ティアラのサロン」と呼ばれているティアラのモデルが壁一面に飾ってある部屋の写真が掲載されていましたが。その雰囲気を感じさせたかったのかしら。
照明のことは分かりませんが、こちら側の照明を明るくしすぎてしまうと向かい合わせに配置されているショーケースのガラスに反射してしまって、ケース内のティアラが見えにくくなってしまうから、なのでしょうか。
せっかくだから、どんなティアラのモデルがあるのかもっとじっくり見てみたかったなぁ。
一生ティアラとは縁がないけれど、せっかくなので、ええ。
『「ロイヒテンベルク」として知られるティアラ』
「ロイヒテンベルク」は皇妃ジョゼフィーヌの後裔にあたるロイヒテンベルク家のことだそうで、その家に由来する宝石だとか。
「トランブルーズ」というはめこみ技術が使われていて、小さなバネが入っているので体の動きに合わせて繊細に揺れるんだそうで。
しかも花の部分はそれぞれ取り外し可能!!ブローチなどにもできるそうです。
『カーネーションのティアラ』
こちらも中央のダイヤモンドが取り外し可能で、ペンダントになるそうです。
宝石を何通りにも楽しめるって注文主からしても嬉しいでしょうねぇ。
他にも野ばらとジャスミン、パンジーといった植物をモチーフにしたティアラがあって眼福でした。
宝石で作られているのに、とても柔らかそうに見えてしまったり。
『カロリーヌ・ミュラのインタリオ・ティアラ』
ほうほう、こういうタイプのもあるんですね素敵だなぁ。
ちなみにカロリーヌはナポレオンの妹さんだそうで。
カロリーヌのほかに、エリザとポーリーヌという妹さんもいたとか。
一番下のポーリーヌを、ナポレオンは殊の外可愛がった、と別の展示室の説明にありました。
彼女の一生も気になるので、この本を読んでみたいかも。
それにしても、ナポレオンも彼を取り巻く人々も色んな人生模様だなぁ。
最後にもう1つだけ。
『鮮紅色の情熱』
この赤い花はユリという説明を図録で読みまして、あ、ユリだったのか!と。
すみません、何の花か分からず見てました。
あぁ、こんな風にグラデーションになっていたんですね。
光の当たり方で、また見え方が変わってくるのかもしれませんが。
ショーメの公式ホームページには「ティアラ製作の伝統」というページがありまして。
そこには特別注文などは製作に500~1500時間を要する、とのこと。最高の石で、熟練の職人さんたちがそれだけの時間をかけるんですもんねぇ。
昔からハイジュエリーは顧客が限られていて、いかにその顧客の心を掴むかというのが大切だったんだろうなぁ、と。
デザインや、揺れるとかの技術を開発することはもちろんのこと、やはりナポレオンに公式ジュエラーに認定されたというのもショーメにとっては大きく飛躍できるきっかけだったんだろうなぁ。
店の前で馬車を引く馬が暴れだし、その馬をなだめたのがショーメ創設者のニトで。
その馬車に乗っていたのがナポレオンだったことがニトと知り合ったきっかけだったという逸話があるそうですが。
今回の展覧会の説明や図録では、触れられていなかったような?
証拠があることではないので公式としては特に触れないようにしているのかしら??と思ってみたり。
で、長くなりましたので次回へ続きます。